ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

〈関係性〉の「形式化」 【かんけいせいのけいしきか】


 「この〈関係性〉の型としての〈間柄〉が、〈関係性〉を制御する仕組みとなりうるのは、それを共有することによって、われわれが互いの「〈我‐汝〉の構造」を「形式化」することができるようになるためである。……より端的に言えば、ここでは互いが無理をして「相手を知る」必要などない。逆にそれゆえ、互いにまったくの初対面であったとしても、われわれは簡単に〈関係性〉を成立させ、円滑な相互作用を実現することができるのである。」 (上巻 215-216



 人々が「人間的〈関係性〉」を構築する際、〈間柄〉を介在させることで、互いの振る舞いを予測可能なものにし、〈関係性〉の負担(「内的緊張」)を軽減させるメカニズムのこと。

 これと逆の作用として、〈関係性〉の「脱形式化」があり、これは一度〈間柄〉として向き合ったもの同士が、敢えて〈間柄〉の背後にある「私」の顔を覗かせることで、再び「〈我‐汝〉の構造」としても向き合おうとすることを意味する。

 この〈間柄〉と「〈我‐汝〉の構造」をめぐる向きあい方の割合調節するメカニズムを、本書では〈距離〉と呼んでいる。