ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

〈社会的装置〉の自立化(〈生活世界〉からの) 【しゃかいてきそうちのじりつか】


 「そこで生じた事態とは、本来「〈生〉の舞台装置」という形で〈生活世界〉に埋め込まれていた「社会的なもの」の一部が、ある段階において、〈社会的装置〉という形で「意味体系=世界像」から分離し、等身大の〈生活世界〉の文脈を超えて突出していったということ、いわば〈社会的装置〉の〈生活世界〉からの自立化とも呼べるものである、ということなのである。」 (上巻 178



 「人間的〈生〉」を実現するための補助装置に過ぎなかった〈社会的装置〉が、やがて〈生活世界〉から突出し、「〈生活世界〉の空洞化」を引き起こしながら拡大していく事態のことで、「〈生活者〉としての生」から「〈ユーザー〉としての生」が成立していく過程を表現したもの。

 その典型的な過程は、〈継承〉の実現をめぐる〈生活世界〉と学校、そして「学校教育」の成立に象徴される。

 なお、ここでの〈生活世界〉からの〈社会的装置〉の自立化という表現は、J・ハーバーマスが「生活世界からのシステムの自立化」と表現したものを敢えて意識したものとなっている(ハーバーマスはこの表現を用いて、合意形成の補助的な装置として形作られた官僚機構と市場経済が、意味的世界(生活世界)から自立化し、合意を目指すコミュニケーション的行為が、成果を目指すコミュニケーション的行為に転換していくメカニズムについて描こうとした)。