ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「情報世界」 【じょうほうせかい】


 「実際、今日われわれが直面している事態には、第二の特異点である「近代的社会様式の成立」には見られなかった、新たな要素が加わっている。例えばコンピューター、インターネット、デジタル技術を通じて「情報世界」というものが確立してきたこともそのひとつである。」 (上巻 123-124



 「官僚機構」「市場経済」に並び、〈生の自己完結化〉〈生の脱身体化〉をもたらす〈社会的装置〉を構成している要素のひとつで、直接的にはインターネットおよび、SNSを含むその派生物の複合体のこと。

 「官僚機構」と「市場経済」が物理的な実体をもたないのと同様に、「情報世界」もまた、物理的な実体は電気信号を介した単なるケーブルと電子機器の集積にすぎない。しかし膨大な数の人々がそこで情報を送受信することで、結果として現実世界と緊密に同期されたもうひとつの世界が出現することになる。

 「官僚機構」と「市場経済」が、没意味的、かつ没人格的に人々を結合させ、行為を調整する機能を持つものだとすれば、「情報世界」は配置の機能を発揮し、〈ユーザー〉となった人々を、〈間柄〉〈距離〉など、〈関係性〉を制御するための機構を透過する形で結びつけることを可能にする。