ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「市場経済」 【しじょうけいざい】


 「次の要素は“市場経済”であるが、それは本書では、市場原理に基づく調整機能を備えた経済システムとして定義される。市場原理が機能する経済的局面においては、価格の決定作用によって需要と供給の均衡が調整され、それによって財とサービスの分配や、産業構造の組織化、分業化が、経済全体を通じて最も効率的な形に向かって組織化される。市場経済の新しさは、こうした機能的な経済システムが、いわばかつてのあらゆる経済の次元に、一元的に拡張していくところにあったのである。」 (上巻 117



 「官僚機構」「情報世界」に並び、〈生の自己完結化〉〈生の脱身体化〉をもたらす〈社会的装置〉を構成している要素のひとつで、各自が利益を極大化させようとする行為が、結果として経済全体の効率的な資源や財の分配を実現する「社会的制度」の一類型でもあるもの。

 原初的な「市場経済」は、世界史のなかで徐々に形作られていったが、明示的な「市場経済」はむしろ法的整備を土台として意図的に整備されたものであり、必ずしも自然発生的なものではない。

 そこでは「官僚機構」と同様に、〈社会的装置〉に接続する人々が集団的に組織化され、それぞれに行われる行為の帰結が、〈社会的装置〉全体として、特定の機能を発揮するように調整されることになる。