ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「時間の地図の比喩」 【じかんのちずのひゆ】


 「そうすることで、われわれはその過去と自身とを隔てる時間的距離間や、その過去から自身へと続く時間的な道筋を、あたかも地図を眺めるかのように捉えることができる。加えてその「地図」を広く見渡すことができれば、われわれは自身からの時間的な距離が離れるほどに、そこには現在の常識がまったく通用しない、異質な世界が広がっていることもまた実感することができるのである。」 (下巻 12



 特定の歴史的事実を「意味のある過去」として捉え、われわれ自身が「生きた地平」のもとで現実と向き合っていくための実践的な手段の一つで、過去の事実と〈自己存在〉の関係性を、地図上の地点と距離に喩えて理解すること。

 例えば地図には、さまざまな空間的な地点の情報が記載されており、われわれはそれを用いて自身の居場所から特定の地点までの距離間や、そこに到達する具体的な道筋を理解することができる。

 これと同じように、特定の過去事実と向き会う際、あたかもさまざまな事実の情報が記載された「時間の地図」を想像することによって、われわれは自身の居場所からその過去までの時間的な距離間や、そこに到達する具体的な道筋を感覚的に理解することができるようになる。