ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「〈共同〉のための意味」(の共有) 【きょうどうのためのいみ】


 「だが“事実”の共有だけでは、おそらく〈共同〉は成立しない。そこで次に言及するのが「〈共同〉のための意味の共有」、すなわち構成員の間で、その「共同行為」が互いの〈生〉にとって重要であるということの“意味”が共有されているという第二条件である。」 (上巻 263



 人々が“遠心力”となる〈共同〉の負担を乗り越え、十全な「共同行為」を成立させる“求心力”となる契機のひとつで、その〈共同〉がなぜ必要とされるのか、そしてそれがなぜ負担に見合うだけの価値あるものかといった事柄について、当事者たちがその意味を共有していること。〈共同〉がもたらす「利益」はしばしば直接的でなかったり、可視化されていなかったりすることがあるが、巡り巡って集団全体の維持にとって重大な役割を果たしていたりすることがある。

 その場の瞬間的な「利益」だけを気にかけていては、こうした〈共同〉は成り立たない。なお、こうした〈共同〉の求心力となる契機は、他にも「〈共同〉のための事実」の共有、「〈共同〉のための技能」の共有がある。