用語解説
「掃除当番の比喩」 【そうじとうばんのひゆ】
- 「次に、一連の思考実験に対していくつかの“ひねり”を加えてみることにしよう。まず「村人」は、この「村」を出ていくことができないものと仮定する。次に、「誰もが恩恵を受ける可能性があることだが、誰もが自発的にしたいとは思わないこと」の例として、ここでは「共有地の掃除」というものを導入する。さらにここでは、「村人」全員が極度な掃除嫌いであること、また「掃除」をしなければ、不衛生から全員が病気になると仮定しよう。そうすると、「村人」が生き残っていくためには、誰かが必ず意に反してまで、「掃除」を引き受けなければならないことになる。「村人」はどうするのだろうか。」 (上巻 259)
自発性と自由選択だけの世界では〈共同〉=「共同行為」が成立しえないことを示した「100人の村の比喩」を応用したもので、〈共同〉を成立させるためには、人間存在は、ときに自らの意思に反して何かをしなければならない場面があるということ、そしてときに納得を欠いた状態であっても、何かに参加しなければならない場面があるということについて、比喩を用いて述べたもの。