ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「〈生〉の分析」 【せいのぶんせき】


 「ここで第二のアプローチである「〈生〉の分析」が必要となる。このアプローチでは、人間をその存在がこの世界で実現する〈生〉、言い換えれば“生きる”という具体的な活動のなかから理解しようと試みる。それは人間存在を“内部”の目線から認識すること、人間という主体の側に立ち、生身の生活者として人間を認識していくことを意味するだろう。ここから浮かびあがってくるのは、はるか古の時代から集団として世界と向き合い、次世代へと〈生〉をつないできたわれわれの姿である」 (上巻 9-10



 本書が、人間存在の本質とは何かを明らかにするために用いている、三つのアプローチのうちの一つ。とりわけ、われわれが“生きる”と表現している営為について、等身大の〈生活世界〉から、生活を実践する主体、〈生活者〉としての人間の目線から分析を試みる点に特徴がある。

 三つのアプローチには他に、人間存在を、その存在を取り囲む〈環境〉との関係性において理解する「環境哲学」と、その存在を“自己”と“他者”が織りなす〈関係性〉の構造のなかから理解しようする「〈関係性〉の分析」がある。